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夏の終わりに
第23章 繋がる想い ③
冷たく澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込むと、浩人は大きく息を吐き出した。
また少し明るくなった空が、人気のない村を頼りなく照らしている。

遠く離れた家のいくつかに明かりが灯り、村の年寄りがもう起き始めていることを告げていた。
誰かが外に出てきて、異変に気づくのも時間の問題かもしれない。

浩人は眉をしかめると、農具庫へと急いだ。

無残に荒らされた畑を見ただけで、何があったか気づく人などいない。
それでも不安は拭えなかった。


もし昨夜の出来事が村の誰かにばれてしまったら……

千里が被害者であることや、未遂で終わったことなど、ここでは関係ない。
誰か一人に知られた瞬間に、千里は晒し者になってしまう。
それまでの親身的な態度が豹変し、千里を忌み嫌い、まるで自分が被害者であるかのように一方的に責め続けるのだ。

……イジメと何も変わらない。


それだけは避けたかった。
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