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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】
その男の子は、辛いことも悲しいことも
自力で克服して生きてきた。
ううん、そうせざるを得なかった。
だって男の子には誰もいなかった。
「っあ"〰️〰お前のせいで何食っても血の味だわ、麗」
『彼』以外は。
「流星うるせえ。んなもん俺もだよボンクラ」
『彼』でも埋められなかった彼の孤独。
彼はそこにわたしを受け入れてくれた。
「全然食ってんじゃん」
「未結が食わしてくれると美味いんだもん。ね」
彼の好きなところ。
わたしが作ったご飯をたくさん食べてくれるところ。
そして
「大好きだよ、未結」
物怖じせずまっすぐ気持ちを伝えてくれるところ。
それは彼の強さ。
彼は自分の中の弱さも、わたしに見せてくれた。
それも彼の強さ。弱いわたしは惹かれて止まないんだ…
彼はとても優しいけど、怖い人。──わかってる。その気になればわたしのことなんて、肉体的にも精神的にも社会的にも、簡単に壊せることも。
彼ともまた、住む世界が違う。だけど
彼の根底にあるものはわたしと同じだった。
愛されたい。
誰でもいいわけじゃない。愛した相手に愛されたい。
それが叶った瞬間は、どれだけ満たされ幸せなのか。
『何処にも行かないでね』
自分は、誰かのもの。誰かは、自分のもの。
それがどれだけの安心感を与えてくれるか。
彼はいろんなことを教えてくれる。いいこと…いけないこと。だけど本当に教えてくれたのはそれだったんだ。
そしてその『誰か』に、わたしを選んでくれたのだ。
『俺は未結のものなんだから、未結も俺のものなの』
その証がこの繋がれた手と、薬指の傷なんだ。
「いや殴った方より殴らせることした方が悪りーだろ」
「おい流星お前、それまんまDVする奴の言い種だぞ」
「あ"ぁ?!お前にだけは言われたくねーよ!勝手に中出」
「わああおおお二人ともももうややめまショウネ?!」
我に返り慌てて叫びながら。繋いだ手にそっと力を込めた。…『大好き』その気持ちを伝えるためと…心の奥でかすかに息づく仄暗いものを、握り潰すために。