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BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】
「とにかくさ、その顔と手、なんとかしねー?」
落ち着き始めた頃。流星から一緒の入浴を持ちかけられた。自分もその…お店のお姉さんたちの香水の移り香を落としたいからと。しかし、彼の真の目的は…
「即行終わらせて、部屋行って、しよ。未結」
…。確かに今日は彼の日で、制限時間の朝6時までは、まだ僅かだけど余裕がある。
流星がわたしを求めるのは、わたしが『生きている』のを一番実感できるから。それを知ったあの日から、求められるのがもっと嬉しくなった。でも、まだすぐ近くに麗が居るのに…
「ねえ未結、夕飯なんだったの?」
…今更だったか。拍子抜けなほど、麗に変化はなかった。献立を聞くまでは。
「ぁ…カレーで」
「食べていい?」
目の色が変わった。彼の意識はもはや完全にそっちだ。
…と思いきや。
「あと、未結は今日何か予定ある?」
「えっ?えっと…特には…」
「じゃあずっと一緒に居ようね。離さないから」
今更なんかじゃなかった。『離さない』その言葉と共に力が込められた手ときれいな笑顔は、流星にどれだけ愛されたとしても『全部塗り潰してあげる』そんな布告をしっかりと現していた。
「なに麗お前、明日…あーもう今日か。休み?」
「うん。だからテメーは心置きなく働け、流星」
「いや俺も休みだし。…つーかまず風呂だ、フロ!」
先行くぞ、と手を離し、流星は自室に向かうため踵を返した。しかし何かを思い出したように「あ」と声を出し振り向いた。
同時に、何故か麗も「そうだ」と呟きわたしに視線を戻す。な、何事…?身構えたら─
「愛してるよ、未結」
…とどめの異口同音。目を白黒させるわたしを他所に、またしても始まる…じゃれあい。
「ヘタ麗真似すんなよ」
「流星うるせえ。テメーこそ真似すんなボンクラ」
…あ。わたし、笑ってる。
──彼らはわたしにありのままの自分を見せてくれた。それは彼らの強さで、優しさで…愛情。
それは、わたしがいちばん欲しかったもの。
『いつまでこのままで』『誰が終わらせる』
そんなのわからない。…わからなくて、いい。
『愛してる』──わたしも、愛し続ける。
「だから」
彼らの最後の声は───『聞こえなかった』。
「いつかは俺だけを"最愛"にしてね、未結」