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第12章 【彼が彼を呼ぶわけ】

「何で流星をボンクラ呼ばわりするかって?」

ある夜。流星さまがまだ帰られていない、麗さまと二人の食卓。箸を置いた彼に思い切って切り出した。

ちょこちょこ現れる『おいボンクラ』。
正直聞いていてあまりいい気持ちはしないし、流星さまは言われ慣れているのか大抵受け流しているけど…タイミングによってはいつ喧嘩に発展するかと思うとヒヤヒヤしてしまう。

出来ればその…『ボンクラ』発言は止めていただきたいんだけど…まずは順序だてて、理由から聞いてみることにしたのだ。

麗さまは思い出すように宙に向けていた視線をわたしに向け、話し出す。

「未結、流星がガチの御曹司ってことは知ってるよね?見えないけど」
「も、もちろんですっ」

都内有数の名家、有栖川さまのご子息。
彼は裕福で由緒正しい家柄の出なのだ。

麗さまの仰る通り、普段の感じからは想像がつかないし(ごめんなさい)今はもうご自分がトップだけれど。


「つまりボンボン。それにあの人、変なとこで抜けてるでしょ。だからボンクラ」
「……」
「ボンクラボンボンじゃ長いし、ボンボンよりしっくり来るからボンクラ。だった気がする」
「…なるほど…」

い言えて妙だ。

「それがどうしたの」
「っ、いいえ!なんでも」

止めるよう願い出る筈だったのに
納得してしまっている自分がいた。
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