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想い想われ歪なカタチ
第7章 7
言おう、 言わなきゃ。 今なら言える。
眠れない夜、固いパイプベッドの使い古した毛布の中、他のコ達の寝息や泣き声を聞きながら、
何度も胸の中で練習した言葉。
ちゃんと、流牙に言わなくちゃ。

もっとぎゅっと、流牙のことを抱きしめた。


「今までずっと・・流牙のこと何も・・知ろうとしてなくてごめんね。
 流牙の気持ち、何も考えなくてごめんなさい。
 私、本当に何も考えてなかった。私、知らないで流牙に酷いことばっかりしてた・・。
 だから、本当に、ごめんなさい・・・」


よかった。ちゃんと言える。
私はほっとして、それだけで涙が出そうになった。

自分からだったけど、屋敷を飛び出してみて気づいた。
何処にも行く処がないっていうのがどういうことか。
自分の、帰る場所が無いってどういうことなのか。

それはすごく、寂しい気持ち。
胸にぽっかり、穴のあいた気持ち。
穴は、何もない空洞なのにさらに酷く詰まったように痛む。
流牙もずっと、こういう想いで過ごしてきたかと思うと、余計に胸が痛くなった。

施設にいた子供たちは皆、どこか寂しい眼をしていた。
そんな眼差しを見るのが嫌で、余計に施設の子とは馴染めなかった。
夜はなかなか寝付けなくて、起きて向かったトイレの手洗い場で、
ふと 鏡の中を覗いたら、自分もそんな眼をしていた。
そんな自分を見て、胸がむせ返るほど 悲しくて、嫌だった。

流牙の眼鏡にはほとんど度は入っていない。
それでも流牙が眼鏡を掛けていたのは、きっと隠すためだったんだ。
自分がどんな眼をしているか。
気付かないように。
見ないように。
気付かれないように。

ちゃんと言えるうちに、全部言ってしまおう。
私はゆっくり言葉を繋いだ。
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