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想い想われ歪なカタチ
第6章 6
 だらだらと 自分の思考に陥っているうちに、かなり時間が経ってしまったようだ。
先程まで暖房の効いた車内に居たにもかかわらず、手足はとっくに凍てつき始めていた。
寒さをもう 感じなくなるほど身体に浸透してしまっている。
油断すると思考さえ止まって、冷たく凍てつく。


俺を捨てて、二度と現れなかった母。
俺の元を去っていった伊吹。

・・・これじゃまるで、俺が 伊吹に捨てられたみてーじゃねぇか・・・。


そう思い当たると、身体中に寒気がした。
麻痺した感覚に痛みさえ走る。
「違う」と振り払っても吹き荒む、この胸の空洞はなんだ。?
何故俺はまた、この場所に来て誰かを待つように立ちすくんでいる?

疑問は尽きない。
本当はもう 答えは分かっている気がする。
だが認めたくない。
この場所に居ても仕様が無い。
誰も迎えになど来ない。
なのに足が凍り付いて動かない。
俺はあの日から なにも成長していない。

――――もうやめよう。


引きずる気持ちを打ち切って、ほの暗い公園の入り口に目を向けると、
どこか見慣れたシルエットが 脆弱な街灯の光に 僅かに照らしだされた。







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