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想い想われ歪なカタチ
第7章 7
 流牙は酷く驚いた様子で、すらりとした長身を翡翠色の古びた街灯と並ばせたまま、
薄い眼鏡のレンズの奥で、何度も瞬きして私を見た。


「やっぱり、流牙だったんだ」


 微笑む私に、流牙はひどく驚いたような、困ったような、
それでいて嬉しそうで、でも逃げ出しそうな 変な顔をしていた。


「迎えに来たよ、流牙。一緒に帰ろう?」


 いつも傍に居てくれたその存在に向かって、
そっと囁くように話し掛けて、ゆっくりと歩み寄る。
なのに流牙は、天敵の犬を目の前にした猫のように、すぐにでも後退りそうな勢いだった。


「なっ・・・なんでお前がここに来るんだ?!」


 流牙顔色が、青いの通り越して真っ白。
唇は紫になりかかって、あまりの予想外の出来事に小さく震えている。

正直、びっくり。
こんなに動揺している流牙の顔を見るのは初めて。


「ふーんだ。この場所のコト、私が知らないとでも思った?」


やっぱり私は胸を反らして、いつもの口調で、
私はゆっくりと流牙の傍に歩み寄った。



「私、今まであそこに居たの」


この公園から北西の方向、少し斜め上に見える明かりを指差した。
私の指の先を辿って目線を動かした流牙が、眉根を寄せて 軽く目を細める。


「あそこは・・・」


「そうよ。昔、流牙のいたトコよ」


やっぱり流牙は驚いた顔をしている。
まさか自分でも、そこのお世話になる日が来るなんて、思っていなかった。
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