この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
LaundryHeavenly.
第16章 Heavenly.16

『殺してやる』


マキアート王子の鋭い瞳は
塞がれる迄そう言っていた。

王子が私に触れることも
私が王子に触れることも───もう、ない。
王子は私の手の及ばぬところへいったのだ。

王子は私を永遠に恨むだろう
私も王子を永遠に憎むだろう

サラサはいない。殺したのは王子。
それは何にも変えられない、事実。

『負の感情』は王子の力の源。
わかっている。わかっている。

だけど

王子への感情を断つ。それはつまり
『サラサを殺した』それを許すこと

…できない。どうしても、できない。

王子は私の手の及ばぬところへいった。
私も今王子の手の及ばぬところにいる。

私の感情が王子の力になるなら
王子は私を、永遠に恨めばいい。

恨んでも恨んでも私はいない
恨みを晴らすことが叶わない
それは何にも勝る苦痛のはず。

─そう、地獄よりも。

────────

「本当に行くのか、レノ」

私の前には、ブライトさん。
彼の読み通り戦は一気に終息へと向かった。

第3王子の暴走に辟易していた敵国…父王は
王子を見限り差し出す事で手打ちとさせた。

沢山人が死に、血が流れたのが嘘のよう。
私達の国は、元の平穏を取り戻したのだ。

「これからどうするの、レノちゃん」

ハイジさんが私に問う。いつかと同じ事を。
でもその瞳はいつかとは違う色をしたもの。

行くあてはない。だが彼らとはいられない。

「…レノさん」

ナノさんが頭を下げた。すみませんでしたと。

…謝らないで。謝るのは私。私はあなた達から
言葉にも形にもできないかけがえのないものを
沢山頂いた。なのに何も返せなかったのだから

部隊は解散。部隊長も謀略兵も衛生兵も
専属娼婦も、今日限りでいなくなるのだ。

彼らが私のこれからを知らないように
私も彼らのこれからは知らない。

今、この場で、お別れだから。

「さようなら」

歩き出した私は振り向くことはない。
歩き出した私を彼らが追う事はない。

「…ありがとう」

私は生きていくのだ。『私』が選んだ道を。




/130ページ
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ