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ひととせの自由
第4章 のべつまくなし
「ひととせちゃんすっごいねー。入った早々、4Pかますなんて」
その男は私の真正面に腰を下ろし、わざとらしい驚き顔と大声で、そうのたまってくれた。…って、待ってください。
か ま し て お り ま せ ん ッ ッ !!!
─────
あの真昼間の異常痴態から、二日後。…の、22時。四季先生、田中くん、私。我らが『すこやかパンダクリニック』メンバーの姿は、昼間と変わらず院内にあった。
一応、24時間診療受付なので、患者さんがいればこの時間に皆が揃っていることはある。しかし今私の目の前にいらっしゃるのは、患者さんではない。
「…何で知ってるんですか…?河村さん」
「オーナーだから」
そう。我らが『すこやかパンダクリニック』オーナー。
私の借金の貸主。そして…私をここにぶち込んだ張本人、河村さんだ。
田中くんから「今夜オーナーが来られるので、準備しておいて下さい」とのお達しを受けたのが、21時。(娯楽が何も無いので普段の私の就寝時間である。なので実はちょっとねむい…)
視察的なものかと思ったら、なんでも『患者』を連れてくるらしい。
どんな症状の方が来られるかは「わからない」そうなので(…そんなんでいいのか)、私は処置室に篭り、とりあえず一通りの対応をできるよう、準備をしていたところだ。
(ちなみに四季先生は診察室のベッドですやすやと仮眠中で、田中くんは事務室でなにやらPC作業中である。)
そこへひょっこり現れたのが、河村さん。…呼び鈴も鳴らさず入ってきたよ…あぁ、『オーナーだから』許されるんですね、ハイ。
器具やガーゼ、薬品なんかを整える準備の傍ら、医療用ワゴンを挟んで私と河村さんは腰掛けあい、サシで雑談を交わしている。…何だこの状況。
「"あの子すごいよ"って、せんせー褒めてたよ」
「はぁ…」
「"突き刺せ"て言っただけなのに、女の子しっかりイかせてあげてた、って」
「うわああぁぁぁ」
ケラケラ屈託なく笑う河村さんは、一人だ。
お供の黒スーツ様方もいないし、まして『患者』らしき人の姿もない。
こんな時間に、この人が連れてくる患者なんて、どう考えてもカタギとは思えない。
ついに『闇医者』の本領発揮キタ━(゚∀゚)━!…と身構えてたんだけどな…。
安堵よりも、拍子抜けしている自分に驚いた。
いや、頼むから馴染んでくれるなよ…私。