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熊猫彼氏。
第2章 村上さん。

「おいポンコツ。起きろ」
「!」

休日。貪るはずだった惰眠は強制的に終了した。俺の安息の場である、やっすいパイプベッド。それが突然蹴りつけられたのだ。

「いつまで寝てんだよ」
「むむむっ村上さん!」

飛び起きた視線の先。腕組みして仁王立ちしてらっしゃるのは、黒フレームの眼鏡越しでもわかる…正真正銘のイケメン様『村上さん』だ。

長身に、モデルみたいな均整の取れた体。今しがたベッドを蹴りつけた長い脚。20代後半とは思えない貫禄。畜生め、天は二物を与えたか。

って、そうじゃないだろ…

「…何で家ん中居んすか…」
「オーナーだから」

俺のお城である、1Kロフト付きアパート。駅からは遠いが、その分家賃は抑えめ。それに学生である俺が住むには充分すぎる設備と広さ。気に入ってる。
ここの持ち主が、村上さんなのだ。

だが、俺とこの方の関係はそれだけではない。

「喜べ。"償い"させてやる」
「!ままま、またですか?!」
「当たり前だろ。テメーはそれだけの事したんだよ」

そう。

遡ること数ヶ月前。俺はこの方の彼女様(後で聞いた所によるとそれ以上に大事な子、らしい…よーわからん)に大狼藉を働いてしまったのだ。

バイト先が潰れ、新しい勤め先を探してた俺に先輩が紹介してくれたのは、とある飲食店のウェイター。その勤務日3日めの夜のことだった。

村上さんが件の女の子を連れて来店したのだ。細ちっこくて、あどけない感じの、可愛い子だった。あとなんかもう一人、でっかい男の人もいた。友達だったんかな?

客席は全て個室。まず最初に飲み物を届けたあと、注文された料理を運んだ時だった。
彼女様(名前知らない)が、突然着ていた服を脱ぎ出したんだ。ケラケラケラケラ笑いながら。
村上さんも、もう一人のでっかい人も、いきなりの出来事で固まってた。

…で、その時の俺はというと。
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