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熊猫彼氏。
第2章 村上さん。
目の前で突然、女の子(しかも可愛い)が服を脱ぎ出した。細身には不釣り合いな大きめのおっぱいを包む、フリルがついた白いブラがばっちり見えた。こんな状況、男なら反応するよね?
そうでなくても、いろんな友達と過ごすうちに、いつの間にか写真撮影が日常に溶け込んじゃってて。この時も反射的にスマホ取り出して、撮っちゃったんだよ。
『マジ?!すっげー!』とかはしゃぎながら。
我ながらアホすぎるし、そもそも現場に私用スマホは持ち込み禁止。死ぬ程後悔した。
その場で村上さんに小便漏らすまでボコられ
機種変したばっかりのiPh○neもぶっ壊され
連れのでっかい人が止めてくれてやっと終息。
更に。手広く商売してる村上さんは、何と俺のバイト先のオーナーでもあった。
入りたての俺は知らなかったし、この日は週末って事もあってみんな忙しく、通達も失念されてた。
しかも、俺が最初に運んだ飲み物。そこでまずミスってた。村上さんが頼んだ酒を、彼女様の所に置いてしまってたんだ。そしてそれを飲んでしまった彼女様は酔っ払って…以下略。
彼女様を連れて一旦帰った村上さんは、閉店後一人で戻ってきた。そして俺はもちろん(しかも病院連れてかれて治療された後だよ。鬼か)店長含む従業員全員正座させて「どういう教育してんだ」と大説教。
俺は罰として無期限減給。社会的に許されんの?これ。ただでさえ薄給だってのに。自業自得だけど…
更に更に。以後俺は『償い』という名目で様々な仕事をやらされてきた。やれ得体の知れない小箱の運び屋、ATMでの引き出し、謎の錠剤を服用後の経過観察。
どれもこれも短期間だし命に別状はないし多少の金も貰えるけど、もしかしたら法に触れてやしないかと気が気じゃない。
逃げよう。田舎帰ろう。そう思った矢先。村上さんが俺のアパートのオーナーになったって最近知った。
身元は完全割れちゃってる。笑っちゃったよ。あ、逃げられないんだって。
『お前なんで生きてんの?』
俺の回りで村上さんを知る全ての人が言った。
村上さんをガチで怒らせたら消される。
周知の事実らしいが、そんな、まさか、ね…
「テメーが何したか思い出させようか?」
「そそその節はほんとスミマセンした…」
数ヶ月経った今も、この方の怒りは
全く収まる気配がない。
村上さんは綺麗な顔にそぐわず
かなり根に持つ。それはマジだ。