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メンズミーティング
第7章 衛生兵 ナノ
繋いでいただけの手に指が絡むようになり、
はしゃいで抱き合う肌にいつしか艶が宿り。
『もういや』『たすけて』
腕の中で嗚咽を漏らす貴女を見て
姉弟としての一線を越えたあの日
『何』に怯えていたのか
『何』から逃げたかったのか
わからなかった。話してくれなかった。
だけどそんなことは問題ではなかった。
姉さんが自分にとって『救い』である様に
自分も姉さんにとって『救い』であること
それが何より幸せだった。
それだけで生きていけた。
それは単なる独善、否。ただの思い上がりと
教えてくれたのも──他ならぬ姉さんでした。
あの夜。ふと目が覚め横を見たら
愛し合った後並んで眠ったはずの
貴女の姿は消えていた。
普段ならば再び眠りに落ちているのに。
あの夜は何故か寝台を降りてしまった。
暗く長い廊下の先には兄の寝室。
ドアの微かな隙間から漏れた光。
それに導かれる様に覗き込んでしまった
そして目の当たりにしてしまった光景。
『……っ』
半裸で四つん這いになり、父に口を
兄に性器を犯される貴女の姿。
『たすけて』『もういや』
その理由がわかった瞬間。そして
その言葉が偽りだとわかった瞬間。
貴女の綺麗な顔は快楽で醜く歪み
貴女の優しい声は悦びに染まって。
やがて父は奥のドアから出ていった。
『おしゃぶりはやはりあの子に限る。
後は二人で愉しめ』と言い残して。
残された兄と姉は貪り合うのをやめない。
姉さんは横たわる兄に跨がり腰を振った。
『やっぱり…お兄様が…、いい…っ』
言ったよね。姉さん。
助けて。もう嫌って。
無理矢理されていたんだよね。
『ナノじゃ…ダメなのお…っ』
『救い』なんかじゃなかった。
姉さんにとっては、父とも兄とも違う
新しい快楽を得る為の存在だったのだ。
だがそれももう見限られたらしい。
『お前は要らない』
姉さんは最後に教えてくれた。
後のことはよく覚えていない。
『よろしくね』
ああ。戻りたい。帰りたい。
何も知らなかったあの頃に。
ただ貴女がそばにいて
抱き締めてくれさえすれば
それで幸せだったあの頃に。
どこにいったの?…ねえ
どうしていなくなるの?
否。よく見ろ。─ほら
目の前にいるじゃないか。
「ああ…戻ってきてくれたんだ…」
小さくて弱くて儚い貴女。
「会いたかった…姉さん」