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メンズミーティング
第24章 暴君14歳とその兄
『うまくやれよ、麗』
あの言葉が頭のなかで反芻する。
うん。ずっとそうしてきたよ。
水面下で。証拠は残さず確実に
自分の思い通りになるように。
これからもきっとそうする。
「…未結ちゃん」
でもね、唯くん。
俺はこの子の前では何もできないんだよ。
俺はこの子の前では丸裸になってしまう。
こんなに惚れ込んだの
生まれて初めてなんだよ。
『うまく』なんてやれない。
どうしていいかわからない。
どうしたら俺だけのものになるのか。
どうしたら俺だけを見てくれるのか。
わからない。
考えた所で答えなんか出ないし
そのうち面倒くさくなってやめる。
毎日毎日その繰り返しだよ。不毛だね。
「…なんで頭撫でてるの?」
「え…、あ、な、なんだかその…落ち込んでらっしゃるみたい…だった…ので…」
ああ、マジで自分がここまでバカとは思わなかった。
ここまで、誰かのこと好きになれる人間だったとも。
『最後に頼れるのは自分』それを指針に生きてきたのに。
この子に関してだけは、自分が一番頼りにならないなんて。
「ごごごごごめんなさい…っ、やめますね…っ!」
「…ううん。続けて」
『下手くそ』って言い捨てられたあの頃から
俺は何ひとつ成長していないんだね。