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BeLoved.【蜜月記】
第2章 ダイニングキッチン
「未結の声、聞こえなくなっちゃうもん」
「、そんな…っ」
「それにね」
彼の声が近くなる。…愉しそうな声が。
「仕事中にうたた寝するような悪い子には、あげない」
「!!…ひっ、きゃうぅっ…」
…やっぱり怒ってた…。緩んでいた律動も再開し、結ばれた箇所から快感が込み上げてくる。それが甘い声になって、結ばれることが叶わなかった唇からとめどなく溢れ出していく。
「でも…こっちにはしてあげるね」
「あんっ!あ…っいやあぁっ」
キスが与えられたのは…耳。触れるだけでなく…舌が這わされ、耳介や筋をなぞっていく。
「や…っ、ゃらあ…っ、やあぁんっ…」
背筋にゾワゾワしたものが走り抜け、身体中の感度が一気にあがったみたいで…無意識に逃れようと身をよじれば、秘部を満たす彼の位置が変わり、新しい快感を見つけてしまう。
その間も、舌は味わうように穴の中にまで入り込んで。ぴちゃん、ぴちゃんと絶え間ない卑猥な水音に、脳まで犯されていくみたいで…怖いくらい、気持ちよくて…
「ごめんなさ…っ、も…や、おかしくな…ちゃぅ…っ」
首に両手を回し縋りついて、許しを乞うても。彼には効かない。だってこれは…『おしおき』だったんだから。
「れ…!…ぁ……っ、…!」
「…このまま出しちゃうね」
最後には声も出せなくて。ただただ全身を小さく痙攣させ、彼と同時に達したのだった──
───────────☙
「おいしかった」
事を終え、しばしの余韻を楽しんだ後。告げられたのは…この言葉で。呆気に取られてしまった。
「ほ、本当に腹ごしらえだったんですか…」
「うん。そう言ったよね」
おしおき…ではなかったようだ。途中のおあずけも…どうやらただの意地悪だったみたい。その時の醜態が思い出され、恥ずかしさに赤面した。
「ここ、もの食うところだし」
「わたし、食べ物じゃないです…」
「同じだよ」
自分にとってはね。と。綺麗な笑みで頬にキスをしてくれた彼。それを恨めしく一瞥したあと、ふと思いに耽った。
ここは、ダイニングキッチン。彼の言うとおり、食事をするところ。…わたしは彼に食べられてしまったわけだけど。
「大好きだよ、未結」
本当に『食べた』のは…わたしの方かもしれない。