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BeLoved.【蜜月記】
第12章 敵は××にアリ?!
「わ、わたし、今日から一人で寝マス……」
自分のこととはいえ、無意識の…眠っている間のこと。『知ったところでわたしにはどうにもできない話』…確かに、彼らの言った通りだった。
となれば最善策は…これだ。
まさか自分が、そこまで寝相が悪かったなんて知らなかった。
今まで特に誰にも指摘されたこと無かったけど…もしかしたら他にも被害者(!)は居たのかもしれない。だったらごめんなさい…。
もう誰も傷つけるわけにはいかない!!
そんな決意を新たにしていたら、いつの間にか彼らの表情が変わっていた。何故か…呆れたものに。
「ほらな。絶対ぇそー言うと思ったんだよ。めんどくせ」
「流星うるせぇ。未結の素直さ知ってんだろ、ボンクラ」
彼ら曰く、アザの原因を知ったわたしはきっと『もう一緒には寝ない!』となるだろうと予想していた、と。
だから、言いたくなかった。と。
そもそもアザの存在自体、気取らせないつもりだったのに。
わたしの前ではつい気が緩み、油断してしまった、と。
「俺も流星も、未結には嘘つけないんだよね…」
「つーか、お前いつまで経っても詰めが甘めーな、麗な」
「気も下半身も緩みっぱなしの野郎に言われたくねぇな」
「俺の 素 直 さ 、知ってんだろー?ヘタ麗」
「そ、そのくらいで…」
ふたりの世界に入りかけた彼らの間に、無理矢理割り込んだわたしは。違う意味でドキドキしていた。
それだけ、彼らがわたしと『一緒に居たい』と思ってくれていたから。今回みたく、自分が(肉体的に…)傷付いても。
…わたしも、同じ気持ち。…だったら…
甘えてもいい…の、かな。
「……」
ああ。今わたし、変な顔してる。
少しの罪悪感と、嬉しさと、照れくささと、幸せな気持ちが混じった、変な顔。
だけど彼らはそれを見て、微笑んでくれたのだった。
「あ。寝返りすら打てねーくらい疲れ果てるまで抱き潰しゃいーのか。未結は安眠、俺は安全。WinWinじゃん」
「おぉ、その手があったか。俺もやろ」
「ななな、何を言ってるんデスカ…」
寝相で攻撃してくる女と、体力を奪おうとする男。
それはお互いに『敵は寝室にあり』な状態では……なんて、思ったけれど。口にはしなかった。
これから何度そんな夜を迎えるのか。──愉しみにしてしまっている自分に、気付いてしまったから。