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BeLoved.【蜜月記】
第12章 敵は××にアリ?!
──記憶にございません。……と言ったのは、誰だったかな。
ちょっと前に見た映画のタイトルだったかな??
ともかく・・・やったのは、わたし。──そんなわけない!!
よりにもよって、わたしのせいにするなんて。心配する気持ちを茶化された気がして、怒りすら覚えてしまった。
「真面目に聞いてるんです!!!」
「こっちも真面目に答えてるよ、未結ちゃん」
「嘘じゃねーもん」
若干声を荒らげたわたしに対し、彼らは平静。衣服と姿勢を戻し、食事を再開したくらいにして。
「大体…わたしにそんな力無いですし、覚えてません!」
黙々と動いていく箸たちを目で追いながら抗議した。彼らとわたしの体格差。もとより、わたしみたいな非力な女が、成人男性にこんな青アザを残せるわけがない!さっきの台詞じゃないけど、記憶にない!!
「ったりめーだろ。おまえ爆睡してんだから」
うるせーな と顔に書いた流星さまが言い放つ。…爆睡?
「そう。これ、正確に言うと"寝てる"未結がやったの」
麗さまも頷いてる。…??
「おまえ、寝相めちゃくちゃ悪いんだよ」
───────☙
ひとつのベッドにふたりで入ったわたしと…その日の彼は。静かな時を過ごしていた。…草木も眠る丑三つ時までは。
「寝入りばなは大人しいんだけどね」
「なー。段々モゾモゾ動き出すんだよ、こいつ」
各々、その時のことを語り合う彼ら。
わたしはただ…己の痴態(?)を聞くことしかできない。
「なー麗なー、前も話したけどさ、俺こいつの隣で俯せで本読んでたの。したら突然背中に掌底打ち喰らって、このアザ」
「俺なんて寝てたから脇腹に踵落としモロ喰らいして、弾みで小便漏らすとこだったからね」
「わかる!俺は血ゲロ吐くかと思った」
「寝返りで上手に勢い付けてくるんだよね、未結は」
そんなところもかわいい。と、麗さまに頭を撫でられたけど。…一体何処がかわいいの…。
果たして彼らの口ぶりから、どうやら真実を言っているらしいことは、わかった。
体格差も力の差も関係ない。無防備なところに、掌底、踵。そんな固い部分が加減なく振り下ろされれば…結果は歴然。
「す…、すみませんデシタ…」
大事な人の身体が、傷ついた原因。それは……自分。
責められた訳では無いけど。余りのいたたまれなさに、ただ頭を下げることしか出来なかった。