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BeLoved.【蜜月記】
第14章 そういう男。2
「(美味しい…!)」
さて、わたしが選んだのは。ランキング2位の、白玉善哉。
白玉の…このもっちもち食感がたまらない。器にたっぷりと満たされているあんこも、くどくない上品な甘さ。
これまで何十回と食べたけど…やっぱり美味しい!頬がふにゃりと緩んだ。
「(…わたしがいた頃よりもっと美味しくなってる!)」
そう。実はわたしは高校の3年間、このファミレスでアルバイトをしていたのだ(もちろんここじゃなく、地元の店舗で)。
TVで見たランキングにあったスイーツも、みんな知ってる。
そうそう、あのアイスは盛り付けが大変だったんだ。とか、あのケーキは男性客に人気で、意外だね、ってバイト仲間と驚いたなぁ、とか。当時を思い出して、懐かしくもなった。
目線だけで店内を見渡してみる。
今、15時過ぎ。ピークのお昼は過ぎた頃だけど、わたしみたく雨宿り目的のお客さんが多いようでそれなりに混んでる。…この喧騒も懐かしい。
今の暮らしを始めてからは、ファミレスなんてぱったり行かなくなったから。…いつか彼らとも来てみたいな。
「、ん!」
なんて思っていたら、鞄の中で携帯の振動音がした。取り出して見た画面には…『着信中 流星さま』の文字!
慌てて口を拭って立ち上がり、迷惑にならないようお手洗の方へ移動して通話ボタンを押した。
───────☙
『なー未結おまえ、さっき○○通り歩いてなかった?』
「え"っ?!は、はい!ぇな、なんでわかりました?!」
『俺車でそこ通ったとき、なんか見覚えある女居んなーと思って。やっぱそーか。さすが俺だわ』
「…そデスカ…」
驚きと感心と微かな脱力(?)を抱きつつ。彼がまだ外に居る(運転中らしい)こと、今日はこのまま直帰すること。わたしがファミレスで雨宿りしていることを伝えあった。
そして話の流れで、彼はわたしを迎えに来てくれることになったのだ。
『30分くらいで着くわ。待ってて』
「はいっ!お気を付けて」
『未結もな』
今日は『彼』は終日不在。なんならそのままそこでちょっと早めの夕飯にしてもいーよ、とまで言ってくれて。
さすがに早すぎる…苦笑したけど、その気遣いが嬉しかった。
まさかこんなにすぐ願いが叶うなんて!るんるん気分で席に戻った矢先。通路を挟んだ隣の席から声をかけられた。
「あのー…、朝比奈、さん?ですよね?」