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BeLoved.【蜜月記】
第14章 そういう男。2

【おまけ】

「うん。未結を連れて来たのは大正解だ、流星」
「だろ。さすが俺」
「うん。お前単身だったら頭カチ割ってたもん」

──会話の内容が尋常じゃないのはさておき。わたしたちは『彼』…麗さまと合流を果たした。

「お…お待たせしてスミマセン…」
「だから謝んなくていーって、未結」
「そう。悪いのこのボンクラだから」

驚いたのは、麗さまがファミレスに居たこと。しかも店舗は違うけどまたしてもわたしがバイトしていたお店。
…なんなの、今日は。戸惑いつつ、流星さまと並んで正面に腰かけ、促されるままメニュー画面を開いた。もうお夕飯時。お腹すいた…

「暇すぎて乙女ゲー始めちゃったよ」

姉の羅々さまから、紹介アイテム目当てで入れさせられたアプリ。お陰で時間潰せたけど、と麗さまはつまらなそうに話しながらも、目線と指先はテーブル上のスマホに向いたまま。ハマりこんでる…。

「へー。未結おまえ何頼んだの?」
「!ぉ…オムライスを」

恐らく微塵の興味もない流星さまは適当な返し。わたしの手の中のメニュー画面を、横からずずいっと覗き込んできた。…それこそ、キスが出来そうな近さまで顔を寄せて。

…絶対、わざとだ。
しかし彼の思惑に反し、正面の方の関心は…スマホ。注文した品が揃い、食べ始めても(余談だけど麗さまはこれが3回目の注文らしい…)。


「で、今"俺様"キャラの攻略ルートなんだけど、こいつの言動が既視感半端ないんだよね」
「"俺様"って、ワガママで自己中な野郎のことだろー?俺には理解不能だわ。てか実在する?都市伝説じゃね?」
「あ、そう?今俺の目の前にいるけど」
「なに?鏡みた?」

…この会話、何て言ってみようもなくて。わたしはオムライスの美味しさに没頭することにした。

「まあ、気付くとそいつのペースになってる感じ」
「へー。何だ、それじゃ"俺様"ってこいつじゃん」

頭の上に乗せられた掌。
…『俺様』?わたしが?ですか?!

「あぁ、うん。一理あるかもな、流星」
「俺ら振り回されっぱなしだしな、麗」

こじつけとしか思えない散々な言われ様だけど。
抗議も反論も、オムライスと一緒に飲み込んだ。

『本物』は自覚なんかないし、なにより…

「不思議と幸せだけどね」
「それな。離す気ねーし」

掌の温かさと…彼らの言葉に、絆されたから。


「俺の未結はそういう女だ」
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