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BeLoved.【蜜月記】
第15章 【裏】BeLoved.
──それにしても。本当にこの人たち、おばあちゃんとはどういう関係だったんだろう?
温め直された食事に舌鼓を打ちつつ、改めて思い返した。
おばあちゃんが亡くなって、半年。そろそろ答えてくれるかな…。淡い期待を抱きつつ口を開こうとしたら、先手を取られた。
「素朴な疑問なんだけど。未結サン、何で働いてんの?」
「えっ」
「それね。税金対策も上手くやったつもりだけど」
仰るとおり。やらしい話だけどおばあちゃんが遺してくれた諸々のおかげで、実はわたしは働かずとも、家政夫をふたりも雇っていても(よっぽど散財しなければ!)暮らしてはいけるのだ。
なんならこのマンションだって元はおばあちゃんのもの。今の所有者はわたしだ。
『あんたのことは、この子らに任せてあるからね』
おばあちゃんのあの言葉には、こういう意図もあったのだと理解したのは、葬儀後、現実に直面した時。
遺された諸々の管理。変な話、この人たちはおばあちゃんの財産事情(?)を、実孫のわたしより知っていた。
そしてそれらの全てを、わたしにも理解るように。わたしが管理しやすいように、速やかに手配してくれた。
──正直、わたしが無知なのをいいことに、身も蓋もない言い方をしてしまえば、カモにされて骨の髄までしゃぶられた挙句、無一文で放り出されるんじゃないか?
そんなふうに窺ったこともあった。
しかし、彼らにそんな素振りは皆無で。というか皮肉にも(?)おばあちゃんが任せた、という事実が何よりの信用になったのだった。
だけどわたしは仕事は辞めない。何故なら…
「…やっぱり、今の仕事好きですしね!」
「ふーん」
「立派だね」
これは本心。だけど真の理由は…あなた方です!!
四六時中一緒にいたら、身も心も持ちません…。
──とは、とても言えなかった。
「なー麗なー、お前床這いつくばってんの超似合うよな」
「テメーが床這いつくばって掃除してるお陰でな、流星」
「はい!ご飯は楽しく食べましょうね!業務命令です!」
"いつもの"家政夫さん同士のじゃれあい(?)に便乗して。
狭いながらも楽しい我が家の夜は、こうして過ぎていくのだった。
わたしは雇用主。
彼らは、家政夫。
わたしが解任しない限り、彼らはわたしのものだ──・・・
【つづく?】