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BeLoved.【蜜月記】
第4章 ハメ撮りってなんですか?

「何言ってるの?未結ちゃん」

秀麗なお顔を訝しみで染め、彼はわたしを見据えた。


───────☙


「いや、その、あの…今日読んだ雑誌に載ってて…」

昼間、買物中にたまたま立ち読んだ女性誌。滅多にそんなことはしないんだけど、組まれていた特集にどうしても引き寄せられてしまったんだ。

『恋人とどんなセックスしてる?』えっと…要するに体験談というか経験談というか、読者の声の寄せ集め。他の人のそんな話を聞く機会なんか無いから、興味をそそられたんだと思う。

その中に、『ハメ撮りしたら盛り上がっちゃって~』というのがあった。聞いたことない言葉。説明文もなかったし、気になったので今夜のご主人様である麗さまに尋ねてみたのだ。


「…そんないかがわしい雑誌読まないの」

めっ。と、おでこを軽ーく叩かれ、溜息をつかれてしまった。いかがわしくなんかないです…多分。果たして彼はきちんと(?)答えを教えてくれた。


「そっ、そそそっ、そんなの恥ずかしすぎませんか?!」

無理。ぜったいに無理。恥ずかしすぎる。その行為自体も…知らなかったとはいえぬけぬけと尋ねた自分も。い、いくら経験豊富(?)な彼だって、さすがにそれは──

「あるよ」
「えっ」
「昔、千衿と一回だけね」

さらりと返ってきた言葉に絶句した。同時に…胸の奥がチクリと痛んだ。撮影の類を嫌う彼が許したという驚きよりも…その相手。…『彼女』のせいで。

「ま…まさかまだそれ…手元に…」

投げかけた疑問を、彼は「まさか」と打ち消した。

「無いよ。別れた時に消したし消させた」
「ぁ…なら良か」
「二人だけの秘密だもん」


わかってる。彼の中にはもう『彼女』はいない。
しかしそれだけでは胸の痛みは癒されなかった。




「…何言ってるの?未結ちゃん」

秀麗なお顔を訝しみで染め、彼はわたしを見据えた。
だけど今度は動じない。

『ふたりだけの秘密』

…それがどうしても、欲しくなっちゃったから。
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