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BeLoved.【蜜月記】
第4章 ハメ撮りってなんですか?
「名前、おしえて」
──さて、舞台(?)は彼の部屋に移されて。膝丈のキャミソールワンピース姿で、ベッドの中央に正座するわたしの正面には…部屋着で胡座をかいた彼と、その片手にある録画状態にされたスマホのアウトカメラ。
「なななんでですか??」
「いいから」
何で今さら?不思議に思いつつも小声で名乗った。
「未結です…」
「フルネームで」
「…朝比奈未結ですっ」
彼は小さく笑みを向け、更に問いかける。
「いくつ?」
「二十歳…です」
「彼氏はいる?」
「…好きな人、なら……なんなんですかこれっ」
さすがに違和感を覚え、抗議の声を上げたら。空いている方の手が伸ばされ、宥めるように頬を包み込んだ。
「じゃあ、これだけ答えて」
「?」
「"俺"と、セックスするのは好き?」
「!!」
カメラのレンズの向こうには、画面ではなくわたしを見つめる彼の瞳。…きれいな切れ長のそれに見つめられただけで、わたしは勝手に追い詰められてしまうんだ。
「…好き…です」
「どうされるのが好き?」
「どうって… …んっ」
手の甲が触れ、肌を下っていく。頬から首筋、鎖骨へと、ゆっくり、優しく。愛撫するみたく。
「あ…」
そんなふうに触れられたら。
「ん?」
そしてその…瞳に見つめられたら。
嘘もごまかしも、できなくなって。
「…キス、したり…」
「うん」
「抱きしめ…られたり」
「うん」
「……なめられたり…」
「うん」
…この時点で、顔から火が出そうなほど恥ずかしいんだけれど。少しずつ、それとは違う感情が深部で芽生え始めていて。
「それだけ?」
──そしてそれは、気付かれてる。彼の瞳。…ほら。見つめられただけで、わたしは勝手に追い詰められて…
「奥…、……の」
彼が語尾まで聞き取れたかはわからない。そっと肩を押し寝かせてきた手も、優しい力。でも…
瞳は確かに、欲を滲ませていて。
「未結、見て」
促された先には…自撮りでの録画状態にされたスマホ。
「、ん…」
覆い被らされて…キスをされた。
現実のわたしも──画面の中のわたしも。