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BeLoved.【蜜月記】
第7章 世界はそれを女王様と呼ぶんだぜ
「車の、免許を、取りました!!」
紆余曲折と幾多の挫折を乗り越えて。ついに手に入れた『普通自動車免許証』。
昼間受け取ったばかりの、ピッカピカの免許証。嬉しさと誇らしさで胸はいっぱい!鼻息荒く高々とそれを掲げ、夕食中のご主人様たちに見せびらかしたのだ。
──さて、彼らの反応はというと。
「うーわっ、マジで取ったよ。で、いくら積んだの」
「まさか教官と変な取引してないよね、未結ちゃん」
…流星さまには買収を疑われ、麗さまには闇取引を疑われた。やっぱり手放しで祝福はされないか…
もともと取得には反対されていたから、覚悟はしていたけど…予想以上の無情さ。さすがにちょっと切ない…
疚しいことはしていません…自力で取りました!
順調に…とは決して言えませんでしたけれども。
彼らの反応に、まるで空気が抜けた風船みたく一気にしぼんでいった気持ち。すとん…と力無くダイニングチェアに座り込み、免許証をテーブルの上に置いた。
さっきまで輝いて見えたそれも、今はくすんで見える…と思ったら、視界からそれが消えた。
そして、優しい声が、ふたつ。
「冗談に決まってんだろ。よーく頑張ったじゃん、未結」
「おめでとう。真面目に通ってたもんね。よく見せて?」
「えらいえらい」と、流星さまが頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。その傍ら、麗さまが免許証をスマホで撮影している。「写真かわいい」と、にこにこしながら。
「…はいっ!」
単純なわたしはそれだけで、持ち直したのだった。