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BeLoved.【蜜月記】
第8章 流麗荒亡 1

「あと麗お前わかんねーの?お前がバカみてーに甘やかすから、未結のやつ間抜けに拍車かかってんだよ」

──しかし、気まぐれなのもまた流星さま。
2秒前の脅威が嘘のように、普段通りの飄々とした雰囲気と物言いにな… って、ちょっと待って!?

「な、なにが間抜けデスカっ?!」
「だって未結おまえ、仕事と私なんちゃらより先に決めなきゃなんねーすげー大事な二択あんの、忘れてんだろ」
「……ぅわ、やべぇ」

抗議も暖簾に腕押しの流星さまと、突然額を覆い、項垂れてしまった麗さま。

「うーわっ。お前も忘れてたんだろ、麗」
「やめてくれ。今結構マジでヘコんでんだから」
「だからお前詰めが甘めーんだよ。バーカバーカバカた麗」
「うるせぇ。バカって言う方がバカなんだよ。バーカ」


いつの間にかいつも通りの『男の子』になって。わたしそっちのけで言い争いが繰り広げられる頭上に、はてなマークを浮かべつつ食事を再開したら。…両方から頬を摘まれた。


「そもそも、未結が煽ったんだよ」
「んーだよやっぱりおまえが原因か、ダメ人間製造機」
「…わ、わらひ…れふか…??」

──『仕事と私、どっちが大事?』そんなことより
わたしが決めなきゃならない、すごく大事な二択。

どこまで呆れられようとも小馬鹿にされようとも
この時のわたしには、本当にわからなかったのだ。
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