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BeLoved.【蜜月記】
第9章 赤ずきんと男ども

外はとってもいいお天気でした。小鳥も楽しそうにさえずっていました。ミユはまるでピクニックのようなウキウキ気分で、村外れの森の奥にあるおばあさんの家を目指し、歩いていました。


今はそのすべてが過去の話です。


お日様は落ち、小鳥はさえずりをやめました。ミユはまるでお化け屋敷に入る前のようなドキドキの気分で、村外れの森の奥にあるおばあさんの家『だった』家を後にしました。


男どもと一緒に。



「そーいやバカずきん、おまえ、名前は?」
「ボンクラ。まずは自分からだろ。ごめんね、俺はレイ」
「…わたしは、ミユです。レイさんに…ボンクラさん、ですね」
「んなわけねーだろ!俺は リュウセイ!!」



乗せられた馬車の荷台で揺られながら、男どものねぐらに向かいます。




『知らない人についていってはいけないよ』



ミユの頭には、小さい頃から言われていたおばあさんの言葉が浮かんでいました。


忘れたことはありません。ずっと守ってきました。


だけど。




「こういうのを返り討ちって言うんだよ」
「っせーな、お前のせいだろ。レイ」
「・・・あははっ」



ミユには、目の前にいる男どもが、どうしても悪人には思えなかったのです。

なぜかはわかりません。

ただなんとなく、そんな気がしたのです。

『一緒にいてみたい』とも。



「これからよろしく、ミユ」




赤ずきんだったミユは、こうして男どものメイドとなり、いずれは女王様へとなっていくことを、この時はまだ誰も知りませんでした────



むかしむかしの、そのむかし。



おしまい☙
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