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BeLoved.【蜜月記】
第10章 流麗荒亡 2
コノヒトナニイッテルノ!!?
「は?おい流星、まだ俺の日だろ」
ほら、一瞬で場の空気が変わった。ご機嫌ななめの時の麗さまは…沸点が低くなる。そして普段より…より…怖い。
「だってこいつ、"一緒に入ってください!!"て泣きながら言ってくんだよ?断れねーじゃん」
それを誰よりも熟知しているくせに。「麗くん怒ると怖えーもん」て言ってたくせに。流星さまは更に畳み掛けた。とっても無邪気に。…いえいえちょっと待って下さい!!彼の寝間着の裾を掴み見上げ、思いっきり抗議した。
「ちょ、りゅっ、なっ、内緒にって、言いましたヨネ?!」
「"俺" は、内緒にする とは言ってねーもん」
「〰〰またそんなとんち効かせて!!」
「未結ちゃん」
言い合いを終結させたのは、それはそれは低く冷たい麗さまの御声だった。こ、こわい…
「風呂入りながら詳しく聞かせてくれる?」
硬直してしまったわたしの頭に、ぽん、と手を乗せ。麗さまは静かに命じた。もはや断るという選択肢は存在しない。
「おい流星、テメーは後でゆっくりな」
「あー俺明日早いから無ー理ー」
「ていうか、テメーはマジでいい加減"ごめんなさい"を覚えろ」
「生憎俺、子供の頃に一生分の"ごめんなさい"使い切ったのよ」
彼らの会話を背中に聞き流しつつ、着たばかりの寝間着を脱いでいきながら。この世には…というか、わたしには。おばけより怖いものがふたつもあったことを、思い出していたのだった。