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きれいなお城の穢れた話。
第1章
「カノ、上に乗れ」
「、あっ…」
仰向けになった王子様の上に跨がり繋がる体勢。こんな恐れ多い体位があったなんて…戸惑う私にお構いなしに、下から容赦ない突き上げが襲った。
「んっ、ひっ、あうぅっ…」
王子様の固い『それ』と、私の中の肉襞が擦れ合うのが堪らなく気持ちよくて。私は夢中で腰を振った。王子様にも同じように、私を感じて欲しくて。
「…ま、おうじ…さま…ぁっ…!」
きちんと着衣をまとったまま横たわる王子様の上で、だらしなく半裸になった私がよだれを垂らしながら腰を振る。端から見たらとてつもなく罰当たりで、異様な光景だろう。でももう、どうでもよかった。
「きゃうぅっ!」
「自分だけよがってんじゃねぇよ」
尻たぶに思い切り張り手をされ、鈍い痛みが伝わる。…王子様にも感じて欲しい、その思いは伝わらなかった。感傷に浸るのも許されない。
「ほらちゃんと動け」
「!ひ…っ、あ…っ、や、やああっ!」
がくがくと激しい揺さぶり。堪らず悲鳴が零れた。それは王子様が快楽を得るためだけの動き。王子様だけのための動き。握り潰されてしまいそうな力で掴まれ、揉みしだかれる両胸。摘まみ取られそうになるその先の突起。
「鳴き方メスブタみてぇだな、カノ」
「あ……」
愛も慈しみも加減もない行為。浴びせられる酷い言葉。痛いのに、哀しいのに。それ以上に私を包み支配していたのは…悦びだった。
触れることなど叶わないはずだった高貴な方。
そんな方と、まがりなりにも結ばれている。
「あんっ……いぃっ…」
「…ッ、やれば出来んじゃん」
一番隠された部分が、私の中にある。
今は…今だけは、王子様は私のものなんだ──
「全部注ぎ込んでやるよ」
「!」
腰を両側から押さえ付けられ。
王子様は私の中で果てた。
熱い飛沫。脈打つ『それ』。
全てが色濃く伝わってくる。
ああ…私はなんて幸せなんだろう…
「──お前、もういらない」
その呟きは、夢の終わりの合図。
王子様は着ていた上着のポケットに手を入れると、何かを取り出した。
言葉に気を取られたせいか、反応が遅れた。
一瞬きらりと光を反射したそれが、ナイフだと気付いたのは。
それが私の喉元を切り裂き、夥しい量の血液を撒き散らした後だった。