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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第2章 魔王②
 記憶が少し前――封印が解かれ目覚めた時へと遡る。

「ん……ぅん……」

 フィーネは身じろぎすると、赤い瞳をゆっくりと開いた。
 突然目覚めたせいか軽く眩暈が起こり、ベッドの白い天蓋が少し回って見える。

(私は一体何を……)

 視界が回るのに耐えながら、今自分が置かれている状況、そして自身が何者なのかを少しずつ思い出す。

(私の名は、フィーネ。勇者様に力を与えるために捧げられる……献上品)

 勇者。
 献上品。

 この二つの単語がきっかけとなって、今までの記憶が洪水のように溢れ出した。
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