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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第13章 忠誠③
 気持ちよくされるだけではダメだと分かっていても、自分の意思では止められなかった。

「もう我慢できないのか?」

 腰を揺らし、切なそうに動く聖女の姿に、低い声が問う。

 フィーネは素直に言葉を返すことができなかった。

 欲しくて堪らないのに、道具である自分が希望を伝えるなど、おこがましいと思ったからだ。

 しかし本能は目の前の男を求めている。気持ちを止めることは出来なかった。

 言葉の代わりに、フィーネは期待のこもった瞳で見つめると、魔王の首に腕を回し、誘うように唇を繋げた。

 唇を離すと、魔王が目を細めてフィーネを見つめていた。

「中々、積極的だな?」

「も、もうしわけございません……」

 主人を不快にさせたかと、不安な気持ちが心を満たす。

 しかし、彼女の不安が杞憂であることは、嬉しそうに口元を緩める魔王な表情から読み取れた。
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