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真紅の花嫁
第11章 銀色の拘束


綾音の口から色めいた吐息が洩れた。

「はあん、好きっ……
   好きです、ご主人さまあっ」

男の首に抱きついて、なおもキスをねだる。

唇がめくり返るほどすり合わせ、舌を口の外に出して、男の舌に巻きつけた。
二枚の舌が、ぬらぬらと淫らに絡み合う様が丸見えだった。


(あんなに夢中になって)

こちらの存在など忘れたかのような口づけを、真波は呆然と見守る。

好き合ったもの同士にしか見えないが、亮は「姫川家への復讐」と言っていた。
とすれば、綾音は哀れな犠牲者ということになる。
それを本人は知っているのだろうか。


若い男女が舌と舌とを吸い合い、唾液を呑み交わす。
混じり合ったふたりのつばが、互いの口腔を行き来する光景。

乳頭がジンと疼くだけでなく、胸の奥がちりちり焦げつきそうだ。
ぴったり合わせた両脚の付け根、ショーツに包まれた部分までが、不穏な熱をはらんできた。


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