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真紅の花嫁
第16章 仄白い指


真波の心の懇願が届いたのか、ローターは静かになった。
下腹部にはまだ甘い痺れが残っていたが、ひとまずほっとする。

解説を再開した。

「さて、紫郎が作品を描かなくなった理由は何なのでしょう?」

もう一度、来館者を見回す。
全員がこちらを向いていた。

胎内の淫具の存在をひときわ意識しつつ、

「画家自身が身体を壊したためとも考えられますが、
 やはり朝比奈市を離れたのが一番の原因ではないでしょうか。

 紫郎は三年間、ひたすら朝比奈の風景を描き続けました。
 この町の自然が、
 美しい山や川の景観が、
 彼の芸術の源だった、ということかもしれません」


わずかの間だったが、振動体に刺激された媚肉は、愛液の量を増やしていた。
ぬるぬるした球面がすべって、蜜孔をすべり落ちかけている。

(どうしよう)


「こちらの作品をご覧ください。
  紫郎の代表作と言われている〈夕景〉です」

参加者の視線が絵に向かったタイミングで、真波は腰と脚をひねって、ローターを膣奥に収めなおした。

冷や汗の出る行為だった。


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