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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告


潤んだ視界の中、端正な美貌が近づいてくる。


貴族的な額にかかる、さらりとした髪。
女のように長い睫毛。
細くまっすぐな鼻梁。
肉の薄い頬から顎にかけての完璧なライン。

すべてがぞっとするほど美しく、官能的だった。


(キスされる……)

あきらめにも似た感情で、自然に瞼を落とし、顎を上げて待ちかまえた。


亮の唇が触れたのは、真波の唇ではなかった。
喉首を強く吸われた。


(あ……)

魂まで吸い取られるようだった。
恍惚が走り、全身が妖しく慄いた。


美術館の壁に背をあずけ、真波はずるずると、その場に崩れ落ちていった。




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