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Q 強制受精で生まれる私
第12章 4.9度目
 あまり背中に優しくない固さのベッドと、仮そめのおしどり夫婦になってから四日目の今日。私はただ何をすることも無く、黙々と横たわる日々を過ごしていた。安静にしているのもさすがに飽きてきた私は、ただ意味もなく点滴を外された左手首の跡を指でなぞり続ける。

 意識を取り戻したばかりの私は本当に体を動かすことができず、一人ではこのベッドから出ることすら出来なかった。まるで筋肉の全てが溶けて無くなってしまった私がこの三日間生きられたのも、全て先生が付き添ってくれたからこそだった。

 さすがのあの強姦魔も今回の件は相当堪えたのか、先生はナースコールを押すと数秒もしない内に飛んできた。時々買い出しとかで不在の時がある位で、基本的には待たせることなく私の所に来てくれる。ここがいつもの病院であると後から知ったけど、私の様子を見るために臨時休診している様だった。

 先生も流石に虚弱者をいたぶる趣味は持ち合わせていないのか、人っ子一人いないにも関わらず、お得意の治療だとか言って私に何かしてくることは無かった。あんなに求められた日々が嘘のように静まり、どこか安心したような、物足りないような…そんな心境を抱き始める。

 いや。別に肉欲が満たされないとか、そんなことがある訳がない。何かよく分からないけど、目が覚めてからの私は原因不明のもやもやを抱える様になった。特に苛立つ訳でもないけど、どんよりとのし掛かるそれは、何か刺激があれば解消される…そんな根拠不明の自負が私の中をぐるぐると渦巻いているのだ。
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