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Q 強制受精で生まれる私
第13章 5.0度目
「先生?」

 目の前の人物がビクッと大きく体を震わせ、勢いよくこちらに振り向く。ここは先生の病院。当然中にいるのは先生本人以外あり得ないから、顔を見ずともその正体不明の観客が誰かなんて一目瞭然だった。そんな平然としている私とは対照的に、先生の方はまるでオバケでも見たかの様に眼をこれでもかと大きく見開いて呆然としている。

 そのまま私達は物言わぬ彫刻の様に微動だにせず、一言も発することなく互いを見つめ合う。

 ただいま。
 どうして。
 ごめんなさい。
 おかえりなさい。
 会いたかった…

 それらの言葉が次々と浮かび上がるも、まるでかの西洋の魔物の魔眼に捕らわれてしまったかの様に、目を逸らすことはおろか口を開くこともできない。

 辛うじて動かせるのは脳と肺と、そしてこの重苦しいプレッシャーをものともしない強靭な性器だけだった。先生のものはピクピクと脈動し、今すぐに女を傷物にしたくて仕方ないと言わんばかりに、その切っ先を私に向けてくる。そんな身勝手極まる辻斬りに、ズタズタに傷つけられたくてたまらないと疼熱を帯び始める、私の女の証。

 動けぬ私達をよそに、画面越しの二人はお互いの体に触れ始め、次の演目の準備を始める。長い緊張が解れた先に何をすべきかなんて、もはや言うまでもない。
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