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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第6章 心中サアカスと惑溺のグランギニョル
「ん、あ、あう、ひ、ろ、ひいろ、」
「うう、りお、かわいい、んん、すき、すき、」

 たん、たん。

 こどもを寝かしつけているかのような、あまい感覚、やさしい音。そのくせ脳には、壊れてしまいそうなほどの快楽の波。あたまが、とろとろ、して、あまえてしまう。

 ひとより幾分もよく回る脳細胞が、やわらかな感覚に包まれて働かなくなってゆく。それでいて、その事実を、怖いとすら感じない。ただ、ひたすらに、幸福で。壊れてしまったのかもしれない。それもいい。この子に壊されてしまうなら、それで。

 いい。きもち、いい。いく。

 熱くて、熱くて。

 からだの中に、心の臓が、ふたつあるみたい。

 ずうっとこうしていれば、いつかほんとうに、一つの生き物になれるのだろうか。とろけて、とろけて、足りない部分を埋めあって、満たされることができるのだろうか。

 リオは細い腰を膝で撫でて、入り込むのをやめてしまわないようにする。そうすれば、陽色が呼吸する音すら伝わってきて、脈打つ心臓の位置が分かって、ほんとうに、これでは、まるで。

 充血したくちびるを、再びかさねる。舌を絡めれば、僅かに開いた部分から、とろりと唾液が零れ落ちた。

 子を孕む、肉の宮。

 ほしいと疼く場所に、先端を押し当て、叩きつけるようにして、陽色も果てた。
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