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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「私からも、お礼を言わせてください。あたたかく出迎えてくださった上に、丁寧に仕事を教えてくださって、ありがとうございました。頂いたお野菜は大事に食べさせていただきます。どうかお元気で」
 ヘンリーは嗚咽を上げながら、何度も頷いた。後から集まってきた農民達も、目を潤ませている。
「名残惜しいけど、そろそろ行こうか」
「はい」
 ラウルにエスコートされて馬車に乗ると、彼らに見送られながら馬車に揺られた。

「今日は君のおかげで身体が楽だったよ。ありがとう、カミリア。とっておきのご褒美をあげようね」
 どんなご褒美か聞こうとしてラウルを見上げると、額にキスを落とされる。柔らかな熱に、顔が熱くなる。
「そこそこ慣れてきたと思ったんだけど」
「こんなこと、慣れるわけありません!」
「敬語」
 ラウルに敬語を指摘され、ムスッとすると、ラウルは笑った。カミリアもつられて笑う。

「ちゃんとしたご褒美用意してあるから、今夜楽しみにしてて」
「ご褒美って?」
「それは夜になってからのお楽しみだよ」
 ラウルはそう言ってイタズラっぽく笑う。経験上、この笑みを浮かべたラウルは、何を聞いても教えてくれない。カミリアは夜を待つことにした。

 カミリアは最初、いつもより豪勢な夕食かデザートかと思ったが、どちらも普通だった。湯浴みの時もいつもと変わらず、肩透かしを喰らった気分になる。
 自室に戻ると、部屋の前には見慣れない女性がいた。
「初めまして、ソニア様。私はアンジュと申します。ソニア様を癒やしに来ました」
「癒やすって、いったい……」
「オイルマッサージをさせていただこうと思いまして」
 アンジュの手には、オイルやタオルなど、マッサージに必要なものが抱えられていた。正直マッサージは必要ないように思うが、ラウルとアンジュの厚意を無下にしてはいけないと思い、アンジュを部屋に招き入れた。
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