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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 朝食が終わると、ラウルのエスコートで外に出る。庭には立派な馬車が停まっており、ラウルはドアを開けてカミリアを馬車に入れた。ふかふかの座席には、懐かしいものが置かれている。
「ラウル、これって……」
「気に入ってくれた? 僕は外で待ってるから、そこで着替えて」
 そう言ってラウルはドアを閉める。

 カミリアは座席に置かれていた鎧を手に取り、そっと撫でる、懐かしい重みに、目頭が熱くなった。久方ぶりに着ると少し重く感じるが、それが心地良い。着替え終えると、ドアを少しだけ開けた。
「入って大丈夫?」
「どうぞ」
 カミリアが返事をすると、ドアが開いてラウルが入ってくる。ラウルはカミリアを見ると、目を細めた。

「うん、やっぱりその格好が1番カミリアらしいね」
 久方ぶりに本名で呼ばれるだけで、胸が弾む。正確には聞けてないが、鎧のおかげで目的地もはっきりしたも同然だ。
「シャムスの城に行くの?」
「あぁ、そうだよ。時々シャムスに行くんだけど、騎士団の皆がカミリアロスでね。今日は副団長に戻って欲しい」
「そういう話なら、いつでも待ってるわ」
「だろうね。ここ最近ナイフの稽古にも付き合えなかったしね。そうだ、途中でお土産買っていこうか」
「えぇ、そうね」
 途中、酒やお菓子を買って城に行く。馬車を門の前に停め、そこから歩いて騎士団の宿舎へ向かう。

 離れていたのはたった2週間なのに、懐かしく感じる。任務で1ヶ月以上宿舎から離れていたことはあったが、その時だってここまで懐かしいと思わなかった。
 一時的とはいえ、この場に戻れたことが嬉しくて、気を抜けば涙が零れてしまいそうだ。

「カミリア!?」
「ハーディ!」
 ふたりはどちらからともなく駆け寄り、抱きしめ合う。久方ぶりに見る友の顔を見れて、騎士としての振る舞いを忘れてしまうほどに舞い上がる。ふたりはしばらく抱きしめ合うと、顔を見合わせる。
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