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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 カミリアは騎士達と別れ、自室に戻った。何冊か軍学書を引っ張り出すと、窓際のテーブルセットに座る。
「ん?」
 違和感を覚え、テーブルを見てみると、テーブルは綺麗に磨かれていた。2週間を明けていたのだから埃が積もっていてもおかしくないのだが、塵ひとつ落ちていない。気になって窓際やサイドテーブルなども見るが、どこもピカピカに磨かれていた。

「ハーディか?」
 真っ先に思い浮かぶのは、親友の顔だった。彼女以外、この部屋に入りそうな人間もいない。
「後で礼を言わないとな」
 カミリアはあたたかい気持ちに包まれながら、再び窓際に腰掛け、軍学書を開いた。

 30分後、会議室は半分以上の席が埋まっていた。前に立つと、彼らはきらきらした目でカミリアを見ている。後ろでは、ラウルが壁に寄りかかってこちらを見ていた。
 戦場とは違う緊張感に、胸が高鳴る。
「では諸君、授業を始めよう」
 久方ぶりの授業は楽しくて、ついつい喋りすぎてしまった。いつかフェガリのことも、こうして彼らに教えられる日が来ることを祈りながら、ひとりひとりの質問に答えていった。

 授業が終わると、昼食の時間になる。皆と一緒に食堂へ行き、いつもの隅っこの席に座ろうとすると、女性騎士達に手を引っ張られた。ひとりはカミリアが持っていた昼食を取り上げる。
「そんなところで食べてないで、一緒に食べましょうよ」
「私達、副団長をお話したいんです」
 まさかこういった声かけをしてもらえるとは思わず、一瞬固まってしまうが、彼女達の厚意に甘え、同じテーブルで食べることにした。

「カミリア様。あ、カミリア様って読んでいいですか?」
「あぁ、構わないよ」
 本当は呼び捨てにしてほしいが、きっと彼女達が遠慮するだろうと思ってやめた。他の女性騎士達も、カミリア様と呼ぶことにしたようだ。

「カミリア様、任務はラウル団長と一緒なんですか?」
「一緒の時もあれば、離れていることもある」
 カミリアの回答に、彼女達は目を輝かせる。彼女達がラウルと自分の恋話をご所望だと察し、困惑する。確かに一緒に暮らしてはいるが、そういう仲ではない。カミリア自身、ラウルのことはキザな人たらし上司としか思っていない。
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