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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「カミリア様のピンチに、ラウル団長が駆けつけてくれたりとか、ありました?」
 ピンチと聞いて思い出すのは、サージュ女史のこと。彼女達が想像しているピンチとはまた違うが、ラウルのおかげで心が守られたのは紛れもない事実だ。
「ピンチというほどではないが、困った時はサポートしてもらって助かったよ。内容は言えないが、不慣れな任務だからね」
 カミリアの答えに、彼女達は目をらんらんと輝かせ、顔を見合わせた。その後も遠回しな恋愛要素を含む質問をいくつもされ、少し参ってしまった。それでもハーディ以外の同性と雑談をするのは久しぶりのことで、とても充実した。

 昼食が終わると、彼らと手合わせをする。ラウルに手合わせを申し出る者もいたが、ラウルはそれを断って見学している。カミリアは珍しいこともあるものだと思ったがそれだけで、騎士達と夢中で手合わせをした。

 3時過ぎになると、見回りをしていた騎士達が急いで訓練所に入ってきた。
「大変だ! って、ケリー副団長にラウル団長!?」
 彼らはふたりの姿を捉えると、敬礼をする。カミリアは彼らに駆け寄る。その際、ラウルをチラリと見たが、彼はその場を動こうとしなかった。

「何があった?」
「コボルトの群れを、街の近くで確認したと門番が」
 コボルトはそんなに強くはないが、人を見るなり襲い掛かってくる凶暴な魔物だ。早急に討伐しなくてはならない。
「ラウル団長、コボルト討伐に行ってきても?」
「すぐに戻るならね」
「分かりました、すぐに戻ります」
 ラウルの了承を得ると、カミリアは討伐隊を編成し、街から出る。不謹慎かもしれないが、久方ぶりの討伐にワクワクしている。手合わせもいいが、やはり実戦で剣を振るわなければ腕が落ちてしまう。

「ケリー副団長、なんだか楽しそうですね」
「君達と久方ぶりに戦えるのが嬉しくてね」
 久方ぶりに剣を持つとは口が裂けても言えない。ましてや、ご令嬢の真似事をしていたなど。今言ったことも嘘ではないと自分に言い聞かせながら、カミリアは彼らと一緒に街を出た。
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