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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「ラウル様!」
「お願い、はやく薬屋へ」
 中に入ろうとする御者の前に立ち塞がると、御者は困り顔をする。
「そうしたいのは山々ですが、シャムスの土地勘がないので、薬屋がどこにあるのか分からないんです……」
「それなら私が道案内します」
 カミリアは御者の返事も待たずに、御者台に座った。御者も急いで座ると、カミリアに言われたとおりに馬車を走らせた。

 薬屋に着くと、カミリアはキャリッジに入り、横になっているラウルの肩をそっと揺らす。ラウルは咳をしながら薄目を開けた。その目に生気はない。
「ラウル、薬を買うからどこが辛いのか言って」
「んー……けほっ、身体が、重い……。それと、咳が少し」
「倦怠感と咳ね、分かった」
「待って」
 キャリッジから出ようとすると、ラウルはか細い声でカミリアを呼び止めた。振り返ると起き上がろうとしていたので、手を貸して起き上がらせる。

「薬、これで買って」
 ラウルはポケットから財布を取り出し、カミリアに渡そうとするが、床に落としてしまう。カミリアは財布を拾おうとするラウルを座り直させ、代わりに財布を拾った。
「そんな状態の時は、私に頼って」
 カミリアはそれだけ言い残すと、薬屋に入った。美しい黒髪をひとつにまとめた女性店主は、カミリアを見るなり笑顔で駆け寄って来る。彼女はメディナといって、数年前、黒髪差別をするブロンドの男に店を荒らされていたところを、カミリアに助けられた過去がある。事件後、カミリアが見回りも兼ねてここでよく薬を買うようになり、今は安心して商売を続けられているので、カミリアを神のように崇めたてている。

「カミリア様! 最近姿を見せないので心配してたんですよ。今日はどのような御用入りですか?」
「知人が熱を出してしまって。咳も少し出て、倦怠感もあるようなんだ」
「まぁ、それは一大事ですね。その方は、どちらに?」
「馬車で休んでいるよ」
「カミリア様。その方を診せていただけませんか? 医者ではありませんが、職業柄、ある程度の心得があります」
 メディナは神妙な顔つきで頼み込むが、カミリアにとって、願ってもない申し出だ。カミリアはすぐに、メディナをキャリッジに招き入れた。
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