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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 ボタンを閉めると、その手にラウルの手が重なる。
「僕の話、聞いてくれる?」
「話は後でいくらでも聞くから、今は休んで」
「このまま手を握ってくれるならね」
「分かった。握ってるから、休んで」
 カミリアが両手でラウルの手を握ると、彼は子供のように無垢な笑みを浮かべ、目を閉じた。ラウルの寝顔を見つめながら、彼が少しでもはやく良くなることを祈った。

 夜が訪れる手前になると、誰かがドアをノックする。返事をすると、初老の男性とオネストが入ってきた。服装からして、この男性が医者なのだろう。オネストはサイドテーブルの薬をどかすと、持っていた診察カバンを置く。
「この紙袋は?」
「シャムスの薬屋で買った薬よ」
「こんな忌々しいもの……!」
 オネストが薬を捨てようとすると、医者が薬を取り上げた。

「これこれ、薬を無駄にしてはいかんよ。どれどれ」
 医者は紙袋を開けると、興味深そうに薬を見ていく。
「お嬢さん、このお薬はなんの薬かね?」
「その薬屋で1番効果があるという風邪薬と、疲れを取る薬です」
 カミリアの説明に医者は何度も頷くと、彼はそれぞれの薬をひと舐めした。味わうように口を動かし、時々驚きの表情を浮べながら、何度も頷く。医者は次第に笑顔になっていき、嬉しそうな顔をして薬を置いた。

「なるほどなるほど。風邪薬も過労の薬も、理にかなった調合だ。ラウル様の症状が風邪と薬なら、この薬が理想じゃろて」
「はい。薬をすぐに飲ませたら、屋敷に着く頃には熱がだいぶ下がっていました」
「フン、シャムスの薬なんか……」
「オネスト」
 眠っていたはずのラウルが目を開け、困り顔でオネストを見る。オネストはラウルの前に膝まずき、深々と頭を下げた。オネストの変わりように、カミリアは呆れを通り越して感心した。どうやら彼の忠誠心は本物らしい。
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