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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅤ(覚醒)
 中学一年で直輝と同じクラスになったときから、彼とはすぐに意気投合した。もちろん男女というよりは、有喜菜自身が男っぽい性格だったし、当時はまるで女を感じさせないタイプだったから、男同士の友情に近い関係を築いていた。そんな中で、直輝への想いが単なる友情ではなく恋心だと気づいたのは、いつの頃だったろうか。
 それでも、有喜菜はその気持ちを表に出さなかった。見かけよりは奥手で臆病だったせいもある。直輝に告白してフラレてしまったら、もう今までどおりにはつきあえない。告白して側にいられなくなるよりは、友達としてでも側にいたいという切ない心が勝ったのだ。
 だから、直輝とは良い友達のまま月日は過ぎ、やがて二年になり、二人は別々のクラスになった。二年では紗英子と直輝が同じクラスになった。既にその時、有喜菜は紗英子に直輝を紹介していた。もちろん、彼氏などではなく、単なる気の合うクラスメートとして、だ。
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