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Memory of Night 2
第13章 投影

 店で春加がポールダンスの練習をした日。
 亮の言葉を鵜呑みにすると痛い目を見る。そんなふうに言っていた彼女の顔を思い出す。
 あの言葉の真意が色恋絡みのそれなら、納得できる部分は多い。帰りに聞こうと思っていたが、ドライブに連れ回されてそれどころではなかった。
 亮からは、答えあぐねいているようなわずかな間があった。

「さて、どうだろうね。大人になると、そういう始まりや終わりをはっきりと口にはしなくなるからね」
「彼女を好きだったんですか?」
「……直球だね」

 亮は喉の奥で笑った。

「ハルちゃんはね、僕個人としてよりも、お店にとってとっても大切な存在だったんだよ」

 店にとって。オブラートに包んだその一言が、答えだった。
 普段と変わらない、柔らかな声色だ。
 春先の雪を連想させる。雪のように静かに降り積もり、投げかけられた疑問をそっと覆っていく。柔らかくて、ひんやりと冷たい、そんな返答だった。

「……変なこと聞いて、すみません」

 宵は再びステージで踊る春加に視線を戻す。
 いつの間にか曲は変わっていた。二曲目はさっきのものよりもアップテンポだった。春加はすでにポールの上にいる。
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