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Memory of Night 2
第3章 甘い遊戯

「ただいま」

 結局学校では一度も顔を合わさないままだった。宵のバイトがない日は一緒に帰る日も多いが、今日はほとんど避けるように帰ってきてしまった。
 まだ晃は帰ってきていない。それでも一緒に住み始めてから、『ただいま』の一言は習慣になっていた。
 部屋に入るなり、宵は諦めと共に一つの結論を出した。

(正直に話すしかねーよな)

 今日一日ずっと考えていたが、晃を誤魔化せるほどの嘘は残念ながら思い付かなかった。
 春加はバイト先の人だと素直に白状するのが最善だろう。どんなバイトかと聞かれたら、それも本当のことを話そう。そう決めた。
 ハプニングバーだと知れば晃は反対するだろう。それは仕方ない。もし立場が逆なら自分だって、晃があんな場所で働くのは嫌だと思う。時給に引かれて働き始めたばかりだが、また別のバイトを探せばいいと宵は考えていた。

(とりあえず、夕飯)

 宵は部屋着に着替え、冷蔵庫を開けた。野菜も肉もある。晃ほど料理上手ではないが、野菜炒めくらいならすぐに作れそうだ。そう思い立ち、包丁を握った瞬間だった。
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