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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

「これは竹ヤスだね。短いし軽いから、初心者でも使いやすいらしい」
「え、モリじゃないの?」
「モリは魚突きに使う道具の総称みたいなもんかな」
「へー、そんなに種類あるんだ」
「あるみたい。叔父さんとこで俺が使ったのはアルミ製のだった。って言っても俺も二回しかやったことないから、違いなんてわからないけどね。全部受け売り」

 そう言って晃が笑う。
 竹ヤスは一本なので、まずは明が教わることになった。
 晃が最初に海に入り、冷たさや深さを確かめる。
 続いて明も海水を体にかけながら、そっと足を入れた。

「思ったより冷たくないね」
「そうだね。気温が高いからね」

 朝見た天気予報では、三十度を超えていた。真夏日だ。それは水温も高くなる。
 海の水は澄んでいた。底の方までよく見える。

「うわ、綺麗」
「明ちゃんは泳ぐの得意?」
「得意な方だとは思うけど。……あまり潜ったことはないなあ」

 海なし県だし仕方がない。学校のプールは足もつくし、水面を泳ぐ授業の方が多いのだから。

「本当はシュノーケルとか足ヒレがあると楽なんだけどね」

 竹ヤス以外の道具といえば、ゴーグルくらいだった。
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