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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

 ちゃんと? そうだろうか。潜る前から触れてくる回数は多い気がしたが、あれは普通に教えるためだったのだろうか。
 そう思った瞬間、宵はある疑問を見つけた。それに気付いた瞬間、イライラした気持ちが鎌首をもたげ始める。

「……てことは、あいつにも同じように教えてたわけ?」
「え?」
「……明にも」

 握り方を教えるために指に触れたり、波音がうるさいからと耳元で囁いたり。どさくさに紛れて腰や……胸にも?
 そんな場面まで容易く想像できてしまい、余計にイライラした。
 晃は何も言わなかった。弁解してこないということは、図星ということだ。

「ーーそれ、嫉妬?」
「はあっ?」

 ついむきになった瞬間、晃は噴き出した。肩が笑いを堪えるように揺れている。

「触ってないよ、明ちゃんには一つも。一回だけ浮き輪に掴まろうとして肩を掴まれたけど、あれは不可抗力でしょ。ーーお触りは宵だけだよ」
「俺にもすんな、気が散るんだよ!」

 晃の下心に気付かず、言われるまま鵜呑みにしてしまった自分が馬鹿みたいだ。
 そのくせ明にまで嫉妬してしまうなんて。羞恥で顔が熱くなる。

「……本当に可愛いね。顔真っ赤。ーー襲っていい?」
「いいわけねーだろすぐそこに明もいるのに……」
「キスだけ」
「……っ」
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