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Memory of Night 2
第3章 甘い遊戯

 その大人が一体どんな人物なのか、気にせずにはいられなかった。
 晃が学校外でも遊んでいたのは知っていた。特定の子を作るのをやめ、不特定多数と派手に関係を持っていた時期があるのも聞いてはいた。
 だが、そこにハプニングバーが入っていたとは驚きだった。
 毎週のように様々なイベントが行われ、客同士でも気に入れば関係を持つ。店の奥にはブースで仕切られたスペースがあり、そこに消えていく客たちも何組も見てきた。
 性に関してどこよりも多様でオープンな場所。ハプニングバーは宵にとってそういう印象があった。
 そんな場所に晃が。しかも客として。昔のことだとわかっていても、不快な気持ちになるのを止められない。
 宵は無言で再び流し台を振り向き包丁を手に取ろうとした。
 その手を晃にやんわりと握られ、阻まれる。

「昔の話だよ。宵に出会うずっと前の」

 そんなことはわかっている。それでも、生々しく想像できてしまう分余計に嫌だった。

「……邪魔」
「宵」

 名前を呼ばれた瞬間顎を捉えられ、強引に振り向かされた。

「んん……っ」
 唇を塞がれる。体ごと晃の方を向かされ、激しく貪られた。いつになく乱暴なキスだった。
 とっさに両手を流し台につき、体を支えようしたが、それより早く晃に抱きすくめられてしまう。

「んっ、ふ……あき……っ」

 晃の舌が口腔を蠢くたびに、ぞくぞくした何かが背を這い上がっていく。
 息継ぎさえままならないほどの口付けをどれだけ続けていたのか。
 やがて唇を離すと、晃は宵の手を自分の股間に導いた。

「……俺がこんなになるの、宵だけだ」
「……っ」

 宵が真っ赤になる。布越しにもわかる。晃のはすでにカチカチになっていた。キスで興奮し、自分に欲情してくれている。宵だって同じだった。晃に触れられるだけで体はすぐに熱くなる。

「……夕飯は?」

 わかりきったことを、それでも聞いてしまうのは自分の悪い癖だと思う。
 晃はもう一度宵の唇に今度は軽いキスをして、甘い低音ボイスで囁いた。

「あとでいいよ。今すぐ宵が欲しい」
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