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第17章 台風接近

　小皿に醤油を垂らし、二人で切り立てを一口。

「うまっ」
「ヤバイね、捕れたてだもんね！」

　スーパーで買ったものとは全然違った。鮮度って大事なんだなと関心しつつ、二人は作業のペースを早める。

「ーーあたし、恋愛感情ってわかんないんだよね。だから好きな人とか居たことないし、タイプもよくわかんない」

　そのまま流れていくと思われた恋愛話だが、今度は明から話してきた。

「へー、じゃあ付き合ったこともないんだ」
「……いや、前に他校の子に告白されて付き合ったことはあるけど。とりあえず友達からで、って押されて。でもやっぱ、部屋とか呼ばれると引いちゃうよね、なんか怖いし」
「まあ、ヤりたくないなら部屋は行かない方がいいと思うけど」
「だよねー。すぐ別れちゃったけどね」
「この先作る予定は？」
「彼氏をってこと？　そんなんわからんわ！　好きな人ができれば、あとはまあ友達からでも良ければ……。ってさっきからなんなの？」
「……明、奥の鍋沸騰してる」
「やばっ！」

　慌てて火を弱める。煮魚だけはできていたが、焼き魚に炊き込みご飯にあら汁。魚料理を同時進行で進めていくのはなかなか大変な作業だった。