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Memory of Night 2
第18章 人魚姫

 海水浴場の入り口直前で大山に追いついた。
 三人で岩場へと向かいながら、宵が尋ねる。

「明から折り返しあった?」
「……ない」
「こっちも来てねーや」
「あんなマメなやつがスマホ見ないなんてあり得ないだろ! やっぱり何かあったんだ……っ! わっ」

 暗がりの中石に躓いたのか、大山が転ぶ。

「落ち着けって」

 宵が声をかける。
 その背後から晃が懐中電灯で大山の周辺を照らしてくれていた。

「……悪い。なんか、胸騒ぎがして」

 息を弾ませながら大山が言う。
 立ち上がり、手に付いた砂利をはたいてから、また歩き出した。
 暗くてわかりづらいが、昼間遊んだ場所はもう少しなはずだ。
 その時だった。歩いている少し先を照らしていた懐中電灯が、突然あるものを照らし出した。
 それは小さなショルダーバッグ。海への行き帰り、ずっと明が肩から斜めがけしていたものだった。岩に立てかけるように置かれていた。
 口には出さずとも、どこかで一度は考えた最悪な事態が三人の頭をよぎり、一瞬足がすくむ。
 バッグの横にはサンダルと懐中電灯もあった。

「明ー!」
「おーい、いるなら返事しろ!」
「明ちゃん!」
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