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Memory of Night 2
第21章 宣伝用ポスター

「ポスターの撮影で泊まりで山に行くんだってね。俺、何も聞いてないけど」
「あ、それは、俺も今聞いて……」
「宵が行きたいならどーぞ。好きにすれば? 俺も誘われたけど、受験だからお断りでってハル姉に伝えといて。じゃ……」
「おい、待てって……」

 一方的な電話だった。そのまま切られそうになり、宵は慌てる。晃の様子はやはり怒っている。
 だが一瞬早く、春加が宵のスマホを取り上げる。そのまま耳に当て話し始めてしまった。

「受験勉強お疲れ様。予備校なんだって? 夜まで? ……へー、遅くまでご苦労なことで。なら十時半頃には帰ってるんだな。そのあと時間ある? ーーOK、なら家行っていい? ちゃんと説明するよ、詳細」
「……家?」

 晃の声までは聞こえないが、春加の口ぶりでなんとなくは理解できた。
 家という単語に宵もつい驚いて反芻していた。
 春加はすぐに通話を切り、宵にスマホを返した。

「そんなわけで今日行くわ」
「……いやいや、どんなわけだ! 来んなよ」
「なんでだよ、ちゃんと晃が納得できるように説明してやるって言ってんのに」
「だからって、なんで今日……」
「早く決めて進めたいんだよ、晃はわかったって」
「マジかよ……」

 断る気でいたのに、まさか先に晃に電話をされて、説得のために家にまで来るなんて思ってもみなかった。
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