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Memory of Night 2
第21章 宣伝用ポスター

「……母さんと住んでたとこだから。ちょくちょく来るし、車の置場所に困るだろうから借りたままにしてるだけ」
「……母さん?」

 春加は酷く驚いた顔をした。勢いよく宵を振り向く。
 バックで駐車しようとしていた赤いスポーツカーは縁石に当たり、わずかだが衝撃があった。

「だから、ガサツなんだよ! 塀とかにぶつけんなよ」
「ーー名前は?」
「……名前?」

 志穂のだろうか。なんでそんなことを聞かれるのかと、宵は怪訝な顔をする。

「志穂(しほ)」
「……ああ」

「そんなんどうだっていいだろ。晃、まだしばらく帰ってこねーからとりあえず上がる?」

 だが、春加はハンドルに両腕を絡め、体を預けながら窓の外を見ていた。小雨が降り続く、暗いアパートの敷地に灯りはない。
 宵の問いかけは無視で、そのまま数秒外を眺めたままだった。
 春加の肩がふいに小刻みに揺れ始める。

「……驚かせんなよ、ビビるだろう」
「はあ?」

 荒い運転で縁石に当たり、その衝撃に驚いたのはむしろ宵の方だった。

「夏だからさあ」

 春加は呟いて、宵を振り向いた。
 アイラインで囲った黒塗りの瞳が、わずかに細められる。

「……夏?」
「見えた気がしただけだよ」
「何が?」

 春加は今度こそ不気味に声を出して笑った。

「ーー女の亡霊」
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